やっさんの人生経験を聞いて

今回、脳性麻痺を抱えながら充実した毎日を過ごされているやっさんという方と一時間対談させていただきました。彼は重度の言語障害を抱えながら指さし文字盤を使ってコミュニケーションを取ってくださいました。やっさんとの対話では生い立ちやつらかった過去などを語ってくださいました。

 まず、やっさんの学生生活は彼にとって制圧そのものでした。小学校に入学する時点で養護学校に入学することが決まっており、それから12年間もの間同じ養護学校で学生生活を過ごしました。自宅からもかなり距離があり、最初の6年間は両親の送迎がありましたが、後半の6年間は地元から離れて寮生活を強いられました。その寮生活というものもお風呂は1日おきにしか入れなかったり、部屋にテレビはなくご飯の時間も決められていたりといった厳しいものでした。その間気を許せる友達もおらず、苦しい日々を過ごしており、せめて高校選びは両親と話し合って地元の高校に行きたいという思いを伝えたかったと悔やんでおられました。

 私はこのお話を聞いて、現代は制度上では障がいを抱える方も進学したい学校で学生生活を送る権利を与えられている時代だとはいえ、実際にはそれは難しく、やっさんのような方々の思いが報われないまま時が進んでいるという事実に無念さを覚えました。また、そのような障がいに苦しむ方々がたくさん我慢しながら過ごされている現状を私たちも知っておく必要があると感じました。

 

 その後、やっさんから今の生活のお話を聞かせていただきました。今はおれんじ村の近くで一人暮らしをしながら在宅ワークをしつつ、休日や仕事終わりにオンラインでインクルーシブ教育に関する研修会に参加しているとのことでした。私も聞いていて驚くほど充実した日々を過ごされており、すごく楽しそうな表情を浮かべておられたのが印象的でした。また、普段もお酒や映画をたしなみながら一人で暮らしているとおっしゃっており、重い障害を抱えながらも生きがいを持って前向きに過ごされている姿にとても応援したくなりました。

 

 最後に、やっさんと対談して障がいを抱える方の思いを尊重することの大切さを改めて感じたとともに、障がいの有無に関わらず生きがいを持って過ごせる社会が形成され始めていることもわかりました。私もこれから様々な方の視点に立ち、教職を目指す身として相手の思いを大切にすることにより一層力を入れていきたいと思いました。

 

みーやん