僕がおれんじ村で得たもの 

僕は、このおれんじ村で、皆さんと一緒に仕事をする中で、新しい価値観を持たせてもらったと思っています。僕はこれまでの人生の中で、障害のある方々と関わる機会をあまり持ってきませんでした。そのためか、どのようにかかわっていけばいいのだろうか、何か失礼があってはいけない、という思いから、実習前からとても緊張していて、無意識に心の中で壁を作ってしまっていたように思います。しかし、皆さんと一緒にお弁当の製造やお菓子の販売といった仕事をして、たくさんお話をしていく中で、自分と全く変わらない人たちなんだな、ということに気が付きました。自分の中で得意なことと不得意なことがあり、周りの人と協力しながらその不得意なところをお互いで補い合って、助け合って生きていくというのは、いわゆる健常者という言葉でくくられる我々にとってもごくごく当たり前のことでした。それなのに、自分と関わる機会が少ないからというだけで壁を作り、変に遠慮してしまっていた実習前半の時間がとてももったいなかったと思いました。実習の中で、障害を持つことの大変さ、経済的・制度的な不安要素が多くあり、まだまだ解決しなければならないことが多くあるということを考える機会があったことはもちろんのことですが、もっと広く、ひとりの人とどう向き合っていくか、ということについても考える機会をもらったと思っています。これから先の人生の中でも、自分がこれまで生きてきた中では出会ってこなかったような人と出会うことは何度もあると思います。その時に、すぐに壁を作ってしまうのではなく、じっくりと話をして、相手がどんな人なのかを知って、関係性を築いていくことができるようにしたいと思いました。

 

 また、働くことの人生における存在感の大きさも学びました。生きていくにはお金が必要で、お金を稼ぐための手段としての仕事の概念しかありませんでした。もちろん、他人の話の中で、働くことは生きがいである、というような話は聞いたことがあったけれど、自分がアルバイトをしているときにそのようなことを感じたことはありませんでした。しかし、おれんじカフェのお弁当を作って、同じ場所で一緒に仕事をしている人に食べてもらったり、お弁当がよく売れて給食のおかずの分が足りなくなったのを見たりしたときには、頑張ってよかったな、と思いました。僕は正直、将来の夢についてははっきりと定まっておらず、何が好きか、ということもよくわからず、なんとなくの気持ちで教員免許の取得をしている部分がありました。しかし、ここでの経験を通して、関わる人とじっくり話をして、自分の見えるところで喜んでくれる人を応援できる教師という職業の魅力にも改めて気が付くことができたと思います。自分に自信がない部分が大きく、あまり身が入らなかったところがありましたが、きちんと向き合って頑張ってみようと思います。

 最後になりますが、おれんじ村の皆さん、一週間お世話になりました。たくさんの経験とたくさんの学びがありましたが、それ以上に、皆さんのおかげで楽しく実習をすることができたと思います。皆さんとても暖かく、実習中も非常に居心地がよかったです。ありがとうございました。丁寧な仕事ぶりや、販売の営業の腕を間近で見させていただいて、とても刺激を受けました。僕は途中で面倒になって投げやりになってしまったり、人とコミュニケーションをとっていくのが苦手なので、皆さんを見習って丁寧に一つひとつやるべきことをやっていくこと、伝えたいことをきちんと伝えるということを実践していけるように頑張ります。またお弁当屋お菓子を買いに来たいと思いますので、その時はよろしくお願いします。

 

みそまめ太郎