あまり報道されていないので、
ご存じない方も多いと思います。
詳細は調べて頂くとして、要点を少し。
4/19〜5/12に広島で全国菓子大博覧会がひらかれました。
会場は広島市民球場跡地で、とてもせまい場所だそうです。
たくさんのお菓子が出展され、楽しいはずの博覧会でしたが、
こと電動車いすとベビーカーを利用する方々には、
そうではなくなりました。
会場内への電動車いすとベビーカーでの入場はできません。
がその理由です。
これは、実行委員会の公式要綱です。
ベビーカーは入り口においていく。
電動利用者は手動にのりかえて入場。
両方とも、全ての来場者の安全を考慮してのことだそうです。
ベビーカーは赤ちゃんが危険。
電動は急発進のおそれがあり歩行者が危険だから。
問題はたくさんあるのですが、
今日は、「電動車いす」について考えたいと思います。
この差別的な制限は、
広島県内外の障害者団体などの要請をうけ、
1.平日など混雑していない時は電動での入場を認める。
2.混雑時は手動にのりかえ、会場を移動するための、
介護福祉士など専門のサポートスタッフを配置する。
3.電動で入場した場合3人態勢サポートする。
とかわります。
めでたしめでたし。
という所まではマスコミ等でも報道されたと思います。
が、めでたし?めでたし?は〜?
という人たちがたくさんいたわけです。
・特別扱いしてほしくないだけなのに、
なぜ電動だけ条件をつけるのか?
・電動を利用するのが普通なので、いつでも電動で入場したい。
・サポートが欲しい人はサポートしてもらったらいいけど、
そうじゃない選択肢も認めてほしい。
・だいたい3人の知らない人に常時かこまれて、
楽しめるわけがない。
という当たり前の要求でした。
その後、
常時入場を認める。
手動へののりかえは求めない。
ことになりましたが、
1〜3名程度の付添はかわりませんでしたので、
地元障害者団体などは、
「だから、その付添がいらないのです。」
と続けて申し入れます。
ここからは、マスコミの対応も変わってきます。
続けて交渉をする障害者団体や議員に、
「入場できるようになったし、
改善(本当は改悪)されたからいいのではないですか?」
「なぜまだ要求を続けているのですか?」
これは実際にマスコミの記者からかけられた言葉だそうです。
(久留米市議Fさん)
お気づきでしょうか。
「電動=危険」という認識は一切かわっていないんです。
それは、菓子博実行委員会も記者さんたちもです。
そして再三の申し入れに対し、
この条件が撤廃されることなく、閉会をむかえました。
広島県知事、広島市、実行委員会は、
電動車いすなどの入場を制限をしたことに謝罪しましたが、
なんか釈然としません。
「電動車いす=危険」という感覚は、真実なのか?
そして、それは実行委員会や記者たちだけの感覚なのか?
時期を同じくして、芸能人Oさんの入店拒否の件が
ネットをにぎわしました。
そこに関連付けられている内容に、
「電動あぶない」
「ぶつかられたけど、こっちが悪いみたいになった」
「わがもの顔で狭いところを通るのはどおなの?」
といったものがみられました。
僕が怖いと思ったのは、ここでした。
「電動車いす=危険=場合によっては制限してもいい」
という感覚が、
一般世論の合意として成り立ってしまうんでないか?
そして以下の様に思いました。
けっこう普通に電動利用者をみかける様になったけど、
「体の不自由な人かお年寄りの乗り物」
という理解はあっても、
「どんな機能」があって、「こんなに安全」
ということは知らないんじゃないか。
となると、「それは差別だ!」と指摘する前に、
「どういう乗り物」で「危なくない」と、
丁寧に逐一説明する必要があるんじゃないかと。
そこそこみかけるようにはなったけど、
社会の認識として、あたりまえにはなっていない。
というか、実態は知らない。
落とし穴と思います。
ひろしま菓子博の件は、
車椅子拒否ではなく、
その後の実行委員会(事務局長は行政)の対応にこそ、
深い問題があった様ですが、今日はふれません。
僕はこの落とし穴って、かなり深いと思うんですが、
みなさんはどうでしょうか?
※この件の詳細は、今回知り合った、
政治参加ネット九州ブロックのみなさんから伺いました。
何度も広島に出向いての交渉だったそうです。
教えて下さってありがとうございます。
文責
くまもと障害者労働センター 藤堂健司
ひさじまん&たけのこ